高麗青磁のうち、器形が端正な物は釉色が際立っているほか、翡翠色の青釉をベースにした物もあり、彫刻や透かし彫りで表現された作品もあります。よく見かけるほとんどの作品が、「象形青磁」と呼ばれる、花、竹の子、瓜、ひさご、鴛鴦、子供、キリン、神亀等の、動植物や人物、あるいは神話の想像上の動物です。この種の作品は工法が煩雑で時間や費用がかかるため、珍しく貴重です。
後世に伝わる高麗青磁には、数が少なく、動植物をかたどった水注が存在します。中国宋代の水注の多くは金属器を手本としており、それらと比較すると高麗水注はスタイルが異なり、可愛らしい器形が高麗水注の魅力のひとつとなっています。なかでも、竹の子、ひさご、瓜の器形は子孫繁栄を意味するシンボルとされ、高麗時代、非常に好まれたため、この種の作品がよく見られます。
この注水は器全体に青釉が施され、汝窯(じょよう)の青磁の釉色と比較すると、透明度の高い灰青緑色を呈しており、高麗時代(918-1392)には「翡色(ひしょく)」と称されました。北宋代宣和年間(1119-1125)、徐兢(じょきょう)(1091-1153)が使臣として高麗に赴き、帰国後記した見聞録《宣和奉使高麗図経》には、「陶器の青色を、高麗の人々は翡色と呼ぶ。ここ数年技術が精巧になり、色合いが素晴らしい」という記載があります。この蓋付の注水には、器全体に縦に走る瓜の溝が十二、蓋には八つあり、溝の間は釉薬を重ね掛けしているため釉色は静けさと幽玄さをたたえ、器底に釉薬が施されています。
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